胃の検査

胃がんについて

胃の検査イメージ

胃がんは日本の全悪性新生物中の死亡率第一位から、近年肺がんに次いで第二位となりましたが、依然として増加しています。

胃がんは55歳以上の人々によく発生し、男性は女性の2倍の頻度で生じます。世界中の科学者が胃がんの原因とその予防法を研究し続けていますが、いまだはっきり説明することができません。

したがって今のところ対策としては、早期発見、早期治療が原則です。胃の病気は何もガンだけではなく、いろいろな病気が存在します。

例えば急性胃炎、慢性胃炎、びらん性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、リンパ腫などです。それらを検査するには胃X線検査と胃内視鏡検査が必要です。

胃内視鏡検査

経口内視鏡

「胃カメラ」と言われているこの検査は正式には胃内視鏡検査と呼ばれています。昔は内視鏡の先端にカメラが取り付けられいて、シッターを押すことで胃の内部の写真を撮って診断していたもので、本当の意味での「胃カメラ」でした。

しかしこの方法では直接胃の内部を観察しながら撮影することが不可能で、盲目撮影と言う状態でした。

その為、写真が出来上がるまで病変がうまく撮れているか分かりませんでした。しかし現在の内視鏡は進歩し、先端にCCDカメラと言う小さなデジタルビデオカメラが取り付けられており、胃の内部の像をリアルタイムでテレビモニターに映し出すことが可能になりました。

このように医師が直接目で見て観察できるため病変の発見率は飛躍的に向上しました。
また、生検鉗子という組織を取る道具が付いており、病変の組織をつまんで良性か悪性かも診断がつくようになっています。 
さらにこの内視鏡を用いた治療も大きく進歩しています。

検査の方法は体を横に休んでもらった状態で内視鏡を飲んで頂きます。内視鏡自体も昔より飲みやすくなっており、また検査時の苦痛をやわらげる為に鎮静剤を使用するので苦痛を感じることなく検査が行えます。

早期胃がん

NBIを採用した内視鏡検査

早期がんの発見に期待されるNBI

光デジタル法による画像強調観察の技術を使った観察方法のひとつに、特定の波長に絞った光を使用する「NBI」(NarrowBandImaging:狭帯域光観察)があります。粘膜の毛細血管や粘膜微細模様に現れる、見えにくい変化を見つけやすくする方法で、オリンパスが世界で初めて実用化しました。

がんは、自らの細胞を増殖させるため、血液から多くのエネルギーを集めますが、血管がない場合には、その周辺に自らが毛細血管を作り出してエネルギーを吸収しようとします(血管新生)。そのため、おもに粘膜表面に発生する血管新生を発見することができれば、早期がんかどうかの判断がしやすくなります。

オリンパスは、血液中のヘモグロビンに吸収されやすい青い光(390~445nmの波長)と緑色の光(530~550nmの波長)を特定し、この2つの波長の光(狭帯域光)を粘膜に直接照射することで、これまでの通常観察では描写しきれなかった粘膜内の細い「血管新生」の状態や場所を観察することができるようになりました。

光には、波長の違いによって物体内に入り込む深さ(深達度)が異なるという特徴があり、「青い光」は粘膜の浅い部分の毛細血管に強く吸収され、血管以外の部分では強く反射・散乱します。また「緑色の光」は、さらに深い部分にある血管の観察に適しています。

このように、NBIは通常の白色光観察では見分けることが難しい早期がんの発見に貢献する可能性が高く、検査時間の短縮など、医療を必要とする人々と医療に関わる人々の双方に、大きなメリットをもたらすことが可能となりました。

NBI画像
通常光画像

経鼻内視鏡検査

上部消化管内視鏡検査は苦しいし、辛いというイメージがありますが、この経鼻内視鏡検査は検査時の苦痛を大きく軽減してくれます。

なぜ、通常の内視鏡検査は苦痛なのか? それは検査中に内視鏡が舌根部に触れることで咽頭反射が起こり「オエッ」という吐き気を催すことがしばしばあるからです。
経鼻内視鏡は鼻腔を通って食道に入ることで、内視鏡が舌根部に触れることなく検査を進めることができ、咽頭反射はほとんどありません。

鼻から挿入する経鼻内視鏡のもうひとつのメリットは検査中も会話ができるということです。
「苦しくないですか、気分は悪くないですか」などの話しかけに答えることが可能となりました。
このような会話で被検者もリラックスして検査を受けて頂けるようになります。

経鼻内視鏡検査は鎮痛剤を使用しない為、検査後休んで頂くこともなく、帰宅して頂けます。
ただ、検査後に鼻出血する場合がありますので、検査後は強く鼻をかまないで下さい。

検査時間、前処置、費用などは、ほぼ通常の内視鏡検査と同じです。

専門医について

特定の診療科や病気に関して、一定の基準を満たす教育や研修を受けて、専門の試験に合格し、学会等によって認定された医師が専門医となります。

当院医師は、外科専門医・内視鏡専門医・消化器外科専門医ですので、安心してご来院ください。

経鼻挿入
経口挿入
検査時間 約10分(検査後、鎮静剤のふらつきがとれるまでしばらく休んで頂きます。)
前処置 検査前日の午後9時から検査まで絶食。
検査費用(3割負担の場合) 約3,500円~約4,400円
※病理検査を行った場合、約4,000円が加算されます。
ご注意事項 検査時の注射によりふらつきや目がかすんだりする事がある為、検査当日の車での来院は避けるようお願いします。

胃X線検査

胃がんがまだ早期ガンとして発見するのが困難だった時代の胃X線検査は、胃の中をバリウムで満たして写真を撮り、胃の中に腫瘤ができていた場合、バリウムが腫瘤により押しのけられることを診断に用いていました。
しかしこの方法では大きな病変しか発見することはできません。胃がんを治すためにはもっと早期ガンのうちに発見することが重要でした。

そこで考えられたのが胃二重造影法です。

この方法は胃の表面にバリウムを付着させ、空気を入れて膨らませることによって小さな病変でもその表面の構造を写し出せるようにしたもので、この技術により日本は数多くの早期ガンを発見し、胃がんの分野で世界をリードするようになりました。
この胃二重造影法は現在でも胃がん検診や胃がんの精密検査としてはなくてはならない存在となっています。

検査方法はいたって簡単で、バリウムを飲んだ後に顆粒状の炭酸を水といっしょに飲んで頂きます。あとはゲップを我慢して、透視台の上で右を向いたり、左を向いたり、うつ伏せになったり、いろんな角度から胃の写真を撮っていきます。 バリウムはまずて飲みにくい物と思われがちですが、昔と違って今はだいぶ飲みやすくなっています。

上記の早期胃がんのレントゲン像
検査時間 約10分程度
前処置 検査前日の午後9時から検査まで絶食。
検査費用 約3,700円(3割負担の場合)

レントゲンと内視鏡、どっちがいいですか?

最近一般の方から「レントゲンと内視鏡とどっちがいいか。」と言う質問をよく受けるようになりました。
これはレントゲンで異常が見つかると内視鏡をしなくてはいけなくなる。
だったら何も両方やらなくても最初から内視鏡をした方が手っ取り早いと考えるからでしょう。

しかしその質問に対する一番適切な答えは「両方一長一短があるから両方受けるのがいいでしょう」と答えるべきだろう。
胃レントゲン検査と内視鏡検査、これはいずれも日本で開発され、発展してきた技術で、今では世界一の実力を誇っている。

また病変の発見率も世界一で90%を超えている。そういう現状の中、レントゲンと内視鏡ではお互い得意とする領域があって、通常最初にレントゲンを行い、ある場所に異常が発見されるとそこを内視鏡で検査するのですが、その時レントゲンでは分からなかった小さな病変が見つかると、レントゲンより内視鏡の評価が上がる。これはすばらしい事なのですが、一般に内視鏡を後でやるからこういう例ばかりが話題になる。

しかし内視鏡の後でレントゲンをやると意外にも大きいガンが初めて発見される場合があることはあまり知られていない。

これは内視鏡を後でやるから内視鏡の見逃しチェックをする機会があまりないからです。
内視鏡しかやらない人はチェックする機会がまったくない。

一般の方はこのような盲点に気づかず、内視鏡さえしていれば完璧だと思いこんでいる方がおられるのです。

レントゲンは胃の外側の病変も分かる事もある。また、スキルスという胃がんはレントゲンでは疑う余地のないほど明瞭に写るが、内視鏡では「そうかもしれない」程度しか分からない時がある。例えるならレントゲンは山を見て木を見て枝や葉っぱを見る検査で、内視鏡は主に葉っぱを見にいく検査である為、時としてその木が倒れかけていることや山自体が崩れかけていることに気が付かない場合があるのです。

とは言っても内視鏡はその葉っぱを持ち帰り、顕微鏡でガンがないかを調べる「生検」という検査ができる事は極めて有益な事なのですが、大事なのはその長所ばかりに気をとられ、検診などを内視鏡だけでやろうとするのはむしろ危険だという事なのです。
バリウムがどうしても駄目な方は1年おきにレントゲンと内視鏡を交互にでも受ける事をおすすめします。


勝田胃腸内科外科医院

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